« 五十肩 | トップページ | 正心調息法と大断言 »

2012年11月10日 (土)

ミャンマーの大僧正4

ある日、サヤドは予定を書き込んでいる手帳を見ていた。

僕が背後から覗くと、ページの下には、プリクラのような小さな、美しい女性たちの写真がいくつも貼られていた。

70代後半の、しかも多くの信者から尊敬を集めている大僧正が、手帳に綺麗な女性達の写真を貼りまくっているのを見て、驚き、呆れそうになった。

しかし、自らの立場や年齢を全く気にせず、自分に正直なその天真爛漫さがとても気に入り、益々サヤドが好きになった。

サヤドは、少しも悪びれずに、「エリザベス・テーラーは、本当に美人だね!」と言った。

「サヤドがこれまでに出会った中で一番美しかった女性は、エリザベス・テーラーですか?」と訊くと、サヤドは僕の目を見つめて言った。

「いいや。私が出会った中で、最も美しかった女性は、日本人の妻だったよ。」

「え?エリザベス・テーラーよりも、昔同棲していた超有名ハリウッド女優のナタリー・ウッドよりも、かつての日本人の奥さんが綺麗だったと言うのですか?」と訊くと、

「そうだ。彼女より美しい女性はいない。」と、遠くを見つめるような目で言った。

サヤドは、日本人女性と結婚した事がある(おそらく日本留学時代に)。しかし、彼女は広島の原爆で亡くなったという。

感動して、しばらく言葉が出なかった僕は、気を取り直して言った。

「ところで、ナタリー・ウッドは、事故で、海で溺死したんですよね。」

すると、サヤドは、また意外な事を言った。

「いや、彼女は殺されたのだ。」

「え?どうして、それを知っているのですか?」

「私が瞑想中に、”今、死にました”と、彼女の霊が挨拶に来たのだ。その時、彼女が殺される場面が見えた。」

「では、犯人を知っているのですね?」

「知っている。」

「何故、警察に知らせなかったのですか?」

すると、サヤドは少し不愉快そうに言った。

「私は、僧侶であり、警察ではない。」

|

« 五十肩 | トップページ | 正心調息法と大断言 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/135474/56085514

この記事へのトラックバック一覧です: ミャンマーの大僧正4:

« 五十肩 | トップページ | 正心調息法と大断言 »