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2017年12月17日 (日)

奇跡の贈り物:あるガン患者との会話

僕のクリニックに通院する、ある40代前半の患者がいる。

彼女は、毎年人間ドックを受けているとの事で、クリニックでの胸部X写真は希望しなかったので、撮ってなかった。

その彼女が、ある日、突然、「先生、私、人間ドックで肺がんと言われちゃった。詳しく検査したら、ステージ4だって。」と言った。

あまりにもサラッと言ったので、聞き間違いかと思って、「えっ?」と聞き返した。

「私、ステージ4の肺がんと診断されたの。もうすぐ、入院して治療するんです。」

僕は、何も言えず、ただ彼女の顔を見つめていた。

心の中では、”彼女は、もう二度とクリニックへは戻ってこれないかもしれない。”と思い、暗い気持ちになった。

それを察したのか、彼女は「私、必ず戻ってきますから!」と言った。

「うん、頑張ってね!」と答えたが、本当に戻って来れるのか、心もとなかった。

それから1ヶ月程経った頃、彼女が来院した。

しっかりした足取りだったが、かなり痩せてしまい、頸部の右側の皮膚は放射線療法のために、シワシワになっていた。

「ああ、よく頑張ったね。」とねぎらったが、その弱った姿に、「いつまで、通院できるのだろうか?」と胸が締め付けられた。

しかし、その後、彼女は驚異的な回復を示し、次第に元気になっていった。シワシワだった首の皮膚も、以前のきれいな肌へと戻って行った。

以前ほどではないが、その後も比較的元気に通院を続けていた。

ある時、彼女が言った。

「先生、私、癌になってよかった。」

「えっ?どうして?」と驚く僕に彼女は答えた。

「私ね、以前は、毎日何となく過ごしていたの。でも、ガンになってからは、毎日毎日、大切に生きるようになり、今、とっても幸せなの。」

感動し、涙がこみ上げそうになった僕は、彼女から顔をそらしてうつむいて言った。

「本当にそうだよね!何気ない毎日は、本当は奇跡なんだよね!普通に歩けて、食べれて、話が出来るなんて、本当は奇跡なんだよね!」と答えた。

拙著で書いた、突然の事故からの生還では、「ああ、助かった!」と言う思い(と神への感謝)しかなかった。

以前、高熱が何カ月も続き、徐々に体力が落ちて行き、寝たっきりに近い状態が長く続いたことがあった。

「このまま死んでしまうのだろうか?」と、暗い気持ちになったが、運よく、その後徐々に体力は回復して行き、普通の生活へ戻ることが出来た。

その病から回復して強く思ったことは、普通においしく食事が摂れ、話が出来、仕事が出来るという、”普通”の平凡な日々は、実は”普通”の事ではなく、”神様からの奇跡の贈り物”なのだという事だ。

このことを悟った後は、毎日が感謝の連続である。

それにしても、彼女の堂々たる態度には感心した。

ガンを告知されると、特に進行ガンの場合、大の男でもかなり動揺するものだ。

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コメント

大変すばらしい記事をありがとうございます。この記事を読んで、我が身を振り返ると、真に恥ずかしいばかりです。大事なことに気づかせていただきました。

また、超念力も購入させていただきました。ためになる良書でした。1200円で買ってよかったです。ありがとうございました。

投稿: itou | 2017年12月22日 (金) 19時17分

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